欠勤が多い正社員にパート転換を提案するべき理由

欠勤が多い正社員

こんにちは、板谷です。今回は「正社員からパートへの労働条件の変更」がテーマです。

身近に接している従業員ほど労働条件の変更は切り出しにくいと思いますが、欠勤続きの正社員をそのままにしておくと、他の従業員が不満をためてしまうことにもつながります。

  • 「仕事場ではとても良い人なんだけど、メンタル不調で欠勤が多い。」
  • 「出社さえできれば途中欠勤はしない。でも出社のハードルが高いみたい。」
  • 「突然の欠勤で困ることはあるけど、辞めてほしいわけではない。」

これらのケースに当てはまる場合は、ぜひ正社員からパートへの転換を考えてみてください。

「辞めてほしい」わけではない

「安定して出社できない従業員にはすぐ辞めてほしい」と考える経営者ばかりではありません。

「通院していて欠勤が多くても、業務ができるなら自分のペースでいいから出社してほしい。でもその働き方に合わせて労働条件は変えたい。」という経営者は多いです。

ここで重要なのは、当人が「職場で周りを巻き込んだ問題を起こしそうか」という観点です。

主な問題が出勤頻度だけで、業務で大きな損害やトラブルにつながりそうにない場合は「とりあえず様子を見る。」のは有効な手段です。

※出勤頻度がとても低い、また勤務態度の悪化やミスの多さが目立つ場合は「休職」を視野に入れるべきです。

他従業員へのシワ寄せに注意

一方、突然の欠勤でその職場の従業員に大きなシワ寄せがある場合、かなり注意が必要です。

というのも、その職場で働く従業員からすれば、

  • 「欠勤ばかりなのに解雇されないなんて、あの人は特別扱いされている」
  • 「あの人は休んでばかりなのに、なんで私たちがその尻拭いをしないといけないの?」

という欠勤者への不満ばかりか、「欠勤ばかりの人をシフトに入れている経営者が悪い!穴埋めしている分、給与を上げてほしい!」という思考になり、険悪な空気が職場に広がる恐れがあるからです。

また、「欠勤が多い正社員」の存在は他パート職員からの不満のタネです。

  • 「欠勤が多いのに正社員のままなんておかしい!」
  • 「私の方がしっかり働いているんだから、私も正社員にしてほしい!」

従業員の側から考えればこれらの意見を持つことは当然です。当人だけでなくその周囲で働く他従業員への配慮も重要です。

業務内容の変更は慎重に

「業務に取りかかれれば優秀なんだけど、欠勤されたら職場へのダメージが大きい」という業務では、業務内容の変更も手段としてありです。

つまり、突然欠勤されても影響が小さい、もしくはフォローへのコストが低い業務への変更です。

この場合、一度にすべて業務内容を変えるのではなく、元の業務に従事する割合を徐々に減らしていき、少しずつ新しい業務に慣れてもらう流れになります。

欠勤頻度が少なくなれば、また元の業務に携わる頻度を徐々に増やすなど柔軟な調整も可能です。

しかし、私はあまりおすすめしません。



というのも、通常、当人が新しい業務に適応できるかは未知の部分が多く、不調の状態で新しい業務に適応できるかを考えると当人と職場の負担が非常に大きいからです。

また、欠勤が多くてもできる仕事を用意するため、最終的に「本来必要がなかった新しい仕事を作りだす」という、いわゆるムダな業務ができてしまう恐れもあります。

「特定の従業員のためだけに仕事をつくる」のは現実的ではありませんし、するべきではありません。

※そもそも本人が業務内容の変更を望んでいない場合、業務内容の変更は労務トラブルの元です。労働条件の変更は当人の同意が大前提です。

出勤頻度を減らすためのパート勤務

例えば、「週5日(週40時間)勤務の正社員」から週3日勤務(週24時間)へのパート転換です。

(事業所によりますが、所定労働時間が週30時間未満では社会保険の加入対象外になる点は注意が必要です。)

大事なことは、労働条件の変更は懲罰目的ではなく「働き続けてもらうための選択肢」として提案することです。

当人としても「ムリが少なく働き続けることができる」という点でメリットがあります。

※新しい労働条件を提案する際、「期間を定めてパートにする」など”期間限定”という言葉は使わないよう気をつけましょう。「期間を過ぎれば正社員雇用に戻るんだ」と当人に期待させてしまいますし、もし引き続きパート勤務を続けてほしいとなった時にトラブルの元です。

欠勤の原因は職場にないか

ここまでは欠勤が多い職員の労働条件についてお話でしたが、そもそも欠勤の原因が職場にある場合は早急に対応が必要です。

例えば、

  • 職場でいじめやハラスメントにあっている
  • 職場の雰囲気が自分に合わない
  • ”特定の人”と同じシフトの日は出社したくない

など、欠勤の原因について事業所の対応が必要なケースはあります。

原因を放置してしまうと新しい欠勤者や退職者が続々と発生する恐れがあるので、もし欠勤の原因が職場にあると分かったなら必ず対応を行いましょう。

特に「”特定の人”と同じシフトの日は出社したくない」という人間関係由来の原因はあるあるです。このケースはその職員と会わないようにシフトを調整するべきです。

また、万が一いじめやハラスメントが事業所で起きているなら迅速に詳細を確認しましょう。

いじめやハラスメントの存在を認識していながら放置している場合、当人と裁判沙汰まで発展する可能性は十分に考えられますし、万が一、裁判に発展した際の対応も難しくなります。


以上、正社員からパートへの労働条件の変更についてでした。

欠勤が多い場合に休職以外の選択肢を提案できれば、より柔軟で働きやすい組織になるはずです。

組織として「どう働いてもらいたいか」は重要ですが、従業員が「どう働きたいか」をヒアリングして落とし所を探すことが大切ですね。

この記事を書いた人

板谷 隆誠のアバター 板谷 隆誠 代表 社会保険労務士

岡山県倉敷市で『あなうみ社労士事務所』を運営しています。趣味はマラソンです。