新人は指示者が2人だと伸びない|誰の指示が優先?

新人は指示者が2 人以上いると伸びません。

今回は、「業務への指示者が2人以上いる」入職1年目の社員についてです。

新人社員は多くの相手から仕事を振られやすい立場にあります。部署内の先輩、直属の上司やメンター、自分に仕事を依頼する他部署の相手など。

私はこれまで4人の新卒者に担当業務を教えてきた経験がありますが、その過程で常々「あまり良くないな」と感じていることが今回のテーマです。

新人社員への指示者が多い問題点

問題はシンプルです。特に下記4つの大きな問題があります。

  • 新人社員の業務管理は誰がする?
  • 広く浅い業務に新入社員は混乱する
  • 誰の指示が優先なのか?
  • 自分の担当業務に習熟できない

指示者が複数いる場合、新人社員の業務管理がとても難しくなります。一言で言うと”雑”になりがち。

複数からさまざまな指示がされていると、新人社員しか自分に振られている業務を把握していないことは多いです。

単純に考えれば「新人社員の業務を管理する担当者(メンター)を決めればいいのでは?」ということになりますが、その担当者も、自分を経由しない指示を逐一把握することはとても難しいです。

「自分の業務で手いっぱいなのに、自分を通していない新人社員の業務まで把握できないよ!」というのが担当者の気持ちでしょう。

気がつけば新人社員に多くの業務がたまっており、大きな負担がかかっていることに気づくのが遅れるということにつながります。

広く浅い業務は大きな負担

また、新人社員は初めてのことが多いですからひとつひとつの業務に時間がかかります。

そんな状況であれもこれもと仕事が増えると、ひとつひとつは簡単な業務でも、それらの業務をうまく管理して回す技術が育っていない場合は破綻します。

複数の仕事を抱えることはそれだけで大きな精神的負担のもとですし、当然、多くの新人社員は業務の優先度が分かりませんので、どの順番でどの程度の成果物を作ればいいのか分からず疲弊します。

(業務の優先度、価値観は組織によって差異があるので、地雷を踏まないように真面目な新人社員ほどすべての業務に一生懸命に力を入れがちです。)

自分の担当業務に習熟できない

自分の担当業務に習熟できない問題は、言い換えると、担当業務に取り組む時間が確保できないという話です。

当然ながら、担当業務を覚える前に複数の”比較的軽い業務(専門性やスキルが求められない業務)”に対応していると、その分、担当業務への習熟は遅れます。

新人社員は上司との面談の中で、こんなことを伝えられていることがよくあります。

「あなたには将来この業務(担当業務)を任せたいから、早く覚えられるように頑張ってね。」

新人社員からすると”自分の仕事である”という自覚に大きなプレッシャーを感じやすいですから、その担当業務に習熟できる時間がとれない、習熟が遅れる、「仕事を覚えるのが苦手そうだと思われたくない」という状況はとても大きな精神的負担となります。

なぜ指示者が複数発生するのか

指示者が多く発生する状況は、その部署の人手が足りていないときに起こりやすいです。

  • 「部署内の仕事をまんべんなく負担してほしい。」
  • 「部署内の1人の仕事をがっつり手伝うよりも、2人、3人の仕事を少しづつ手伝ってほしい。」

忙しい組織ではこのように考えることは当たり前です。

そして、「新人社員は部署内の仕事の流れを掴んでもらうためにも、最初はまんべんなく部署内の仕事をしてもらおう」という考えに辿り着きがちです。


ただ新人社員の段階で部署内の仕事の流れを「把握」できたとして、具体的なメリットを考えるとあまり思い至らないのではないでしょうか。

電話を受けた時に「この業務は〇〇さんに取り次ごう」などの対応ができるようにはなるでしょう。

しかし、それよりも新人社員に早く担当業務を覚えてもらい、「仕事を任せられる」状況にするほうがお互いに得るものが多いです。

具体的には、業務内容にが問題ないか細部までチェックする時間を短縮できますし、新人社員も「仕事を任せられている」ことで責任感を持ちやすいです。

さらに、一つの業務に習熟すれば、それ以外の業務が部署内でどのように運用されているのかも分かるようになります。それは複数の”軽い”お手伝いをしているときもよりも深く理解できるようになります。

新人社員への指示者は一人に絞るべき

人を雇うということは「人手が足りない」という根本原因があり、特定の社員1名の人手が足りないというケースよりも、部署や組織内で全体的に人手が足りないケースの方が多いです。

たいてい”余っている業務”は「専門性や緊急性が高くはないが、誰かがやらないとリスクになる。」ような業務であり、ファイリング作業やデータ整備などいわゆる雑務が多いので、そのような雑務がまず新人社員に割り振られてしまいがち。

雑務はいわゆる「簡単な業務(スキルよりも作業時間で成果が出やすい)」が多いですが、それが積み重なると膨大な作業時間が必要になります。もっと言うと、人間は「切り替え」に多くのエネルギーを消費しますから、ファイリング作業→データ入力→その他雑務→ファイリング作業というように、業務の切り替えが多く発生する状況では疲弊します。

このような環境下で新人社員の業務量を適切に管理できる担当者がいないと、新人は仕事の山に埋もれながら「この組織は自分を大切にしていない」と考えるのは当たり前の流れでもあります。

自分を通さず新人社員に仕事を依頼する相手に「NO!」と言える”強い担当者”を割り当てたり、新人教育の担当者がしっかり新人社員の業務を把握できているかチェックすることが大切です。

この記事を書いた人

板谷 隆誠のアバター 板谷 隆誠 代表 社会保険労務士

岡山県倉敷市で『あなうみ社労士事務所』を運営しています。趣味はマラソンです。